夏のシーズン限定で、毎年ポップアップ・パビリオンを設営しています。
注目の、またはこれからが期待される建築家が選ばれ、
今年2014年はチリのアーティスト、スミルハン・ラディック。。
2013年は藤本壮介氏(これ、訪ねたかった。。。)。
これまでの人選は、オスカー・ニーマイヤー(!)、フランク・ゲイリー、レム・コールハース、ジャン・ヌーヴェル、ヘルツォーク&ド・ムーロン、伊東豊雄、SANAAなどなど。
そうそうたる顔ぶれです!
これ、訪英のタイミングと合えば、楽しみにしているもののひとつです。
このポップアップ・パビリオンは
レストハウスですが、
もちろんギャラリー本体も興味深い
展示が行われることが多いので、
プログラムをチェックしていたときに出くわしたのが、
同じく、サーペンタイン・ギャラリーが運営する(なのかな?)
マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant。
つらつらと眺めていると、
日本風のアフタヌーンティーを提供とあります。
日本料理に魅せられたヨーロッパ人シェフがやっていると
(名前からイギリス人ではない、少なくともイギリスがルーツではない)。
メニューを眺めていたら、俄然気になり、出かけてきました。
The Magazine Restaurantはサーペンタイン・ギャラリーから少し離れた場所にあり、
何より目を引くのが、レストランの外観かもしれません。
それもそのはず、デザインはザハ・ハディッド。
東京の新国立競技場計画で物議をかもしている建築家です。
ちなみに彼女は、先のポップアップ・パビリオンの第1回で選出されています。
私自身は、ザハ・ハディッドの建築デザイン、というよりも彼女の建築への態度が好きではなく、
何と言うのかですね、私のデザインってすごいでしょ、私を見て、見て、見て、が
突出して真っ先に見えるところが苦手なんですよ。
私の持論としては、建築は作家の作品であると同時に、
たとえそれが個人の所有物であっても、建物という性格上、公共性が強いので、
周囲との調和、とは言わないけれど、
なぜこのデザインなのか、それがそこにある意義を見たいのです。
残念ながら、私には、彼女の作品にはそれを感じ取れないんだなぁ。
いけいけどんどんな場所であれば、
どうだ!で共鳴し合って、ズバッとはまる印象なのですが。。。
まあ、とにかく、The Magazine Restaurantへ向かいました。
インテリアは、安っぽくない
カジュアルすぎない
ぎりぎりのところで、
店内は広く、席も多い。
天井が高く、白を基調としている
せいか、より広がりを感じます。
ケンジントン・ガーデンの中に
あることもあって、散歩の途中
なのでしょう、
午後のお茶の時間帯も、時間が進むに連れてほぼ満席に。
10人、12人のグループもいれば、ひとりで、という人も。
これが実に興味深いものでした。
登場したのは、箱庭のような木箱。そこに小石が敷き詰められ、
その上に、あるものはそのまま、あるものはお皿においた料理が
ちょこんとのっかっています(写真は2人分)。
内容はと言うと、
セイヴォリー(甘くないもの)は、
・アンガスビーフのタルタルとサツマイモの素揚げ
・自家製ブリオッシュ ロブスター(伊勢エビ?もしくは伊勢エビをイメージ?)の柚子マヨネーズ和えのせ
・スコットランド産スモークサーモンの紫蘇巻き
・かっぱ巻き キュウリの漬け物と特製醤油(下の写真は、トッピングをとった状態)
・しめじとネギの茶碗蒸し(のようなもの)
スウィートは(甘いもの)は、
・ 柚子のタルトレット(ラズベリーをトッピング)
・ 濃厚抹茶のショートケーキ
・ ピーチメルバ・ショット(これ、ショットというように飲み物)
・ ホワイトチョコレートのロリポップ(竹串に刺さっています)
・ 味噌風味のスコーン トンカ豆のクローテッドクリームとアンズのコンポート
熟考してメニューを作ったんだろうなぁ、と思いました。
ひとつひとつに工夫と愛情が感じられます。
こういうフュージョン(融合)、作り手のオリジナリティが高いものは、
これって日本じゃないと敬遠する方もいらっしゃいますが、私はむしろ逆。
日本料理ときちんと習ったことはないかもしれない、
もしかしたら日本に行ったことすらないかも知れない。
でも、そうだとしたら、そうだからこその創造性なのかもなぁと感じるのです。
そして、こういうのが彼の地では受けるんだなぁ、とも。
The Magazine Restaurantで出されたものの味、
この場合、素材の組み合わせやアレンジかもしれませんが、
それもしっくりきました。
スウィーツはある程度想像できる内容でしたので、
セイヴォリーの方が新鮮味がありました。
それにプレゼンが楽しい。
外国の飲食店でおっ!と思うのは、味覚よりも視覚かもしれません。
エキストラで日本酒3種セットを付けることもできます。
純米酒とフルーツのフレイヴァーを利かせたものとスパークリング。
値段は、アフタヌーンティーが25ポンド、日本酒3種セットが10ポンド(2014年9月現在)。
食器類も、大ぶりな今どきモダンで、
このレストランに合っているなと思いました。
ひとつ、レストランとはまったく関係のないところで、
便利なのは、万人に便利なのか不便なのか、と思ったことを。
ティーポットが右利き用
だったんです。
私、左利きなんですよ(お箸や
ペンなど大きなことは右ですが、
小さなこまごましたことは左)。
ふたにデザインされた突起物が、
ポットの取っ手までのびており、
押さえながら
お茶が注げるようになっていて、
そこに注ぎやすいように親指をおけるくぼみが作ってあります。
それが、もちろんと言わんばかりに右利き用デザインされているんです。
なんか注ぎづらいと思ったら、そういうことでした。。。
(自動改札も体をくねらせているし。。。)
sat 20/09/14
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