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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)


ロンドンのケンジントン・ガーデンズにあるサーペンタイン・ギャラリーは、
夏のシーズン限定で、毎年ポップアップ・パビリオンを設営しています。
注目の、またはこれからが期待される建築家が選ばれ、
今年2014年はチリのアーティスト、スミルハン・ラディック。。
2013年は藤本壮介氏(これ、訪ねたかった。。。)。
これまでの人選は、オスカー・ニーマイヤー(!)、フランク・ゲイリー、レム・コールハース、ジャン・ヌーヴェル、ヘルツォーク&ド・ムーロン、伊東豊雄、SANAAなどなど。
そうそうたる顔ぶれです!
これ、訪英のタイミングと合えば、楽しみにしているもののひとつです。

日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_8185595.jpgこのポップアップ・パビリオンは
レストハウスですが、
もちろんギャラリー本体も興味深い
展示が行われることが多いので、
プログラムをチェックしていたときに出くわしたのが、
同じく、サーペンタイン・ギャラリーが運営する(なのかな?)
マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant
つらつらと眺めていると、
日本風のアフタヌーンティーを提供とあります。
日本料理に魅せられたヨーロッパ人シェフがやっていると
(名前からイギリス人ではない、少なくともイギリスがルーツではない)。
メニューを眺めていたら、俄然気になり、出かけてきました。

The Magazine Restaurantはサーペンタイン・ギャラリーから少し離れた場所にあり、
何より目を引くのが、レストランの外観かもしれません。
それもそのはず、デザインはザハ・ハディッド。
東京の新国立競技場計画で物議をかもしている建築家です。
ちなみに彼女は、先のポップアップ・パビリオンの第1回で選出されています。

私自身は、ザハ・ハディッドの建築デザイン、というよりも彼女の建築への態度が好きではなく、
何と言うのかですね、私のデザインってすごいでしょ、私を見て、見て、見て、が
突出して真っ先に見えるところが苦手なんですよ。
私の持論としては、建築は作家の作品であると同時に、
たとえそれが個人の所有物であっても、建物という性格上、公共性が強いので、
周囲との調和、とは言わないけれど、
なぜこのデザインなのか、それがそこにある意義を見たいのです。
残念ながら、私には、彼女の作品にはそれを感じ取れないんだなぁ。
いけいけどんどんな場所であれば、
どうだ!で共鳴し合って、ズバッとはまる印象なのですが。。。

日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_8202862.jpgまあ、とにかく、The Magazine Restaurantへ向かいました。
インテリアは、安っぽくない
カジュアルすぎない
ぎりぎりのところで、
店内は広く、席も多い。
天井が高く、白を基調としている
せいか、より広がりを感じます。
ケンジントン・ガーデンの中に
あることもあって、散歩の途中
なのでしょう、
午後のお茶の時間帯も、時間が進むに連れてほぼ満席に。
10人、12人のグループもいれば、ひとりで、という人も。

日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0103620.jpg
オーダーしたのは、もちろん、アフタヌーンティー。
これが実に興味深いものでした。
登場したのは、箱庭のような木箱。そこに小石が敷き詰められ、
その上に、あるものはそのまま、あるものはお皿においた料理が
ちょこんとのっかっています(写真は2人分)。

内容はと言うと、
セイヴォリー(甘くないもの)は、
・アンガスビーフのタルタルとサツマイモの素揚げ
日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_011598.jpg

・自家製ブリオッシュ ロブスター(伊勢エビ?もしくは伊勢エビをイメージ?)の柚子マヨネーズ和えのせ
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・スコットランド産スモークサーモンの紫蘇巻き
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・かっぱ巻き キュウリの漬け物と特製醤油(下の写真は、トッピングをとった状態)
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日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0125081.jpg

・しめじとネギの茶碗蒸し(のようなもの)
日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0141399.jpg

スウィートは(甘いもの)は、
・ 柚子のタルトレット(ラズベリーをトッピング)
日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0144124.jpg

・ 濃厚抹茶のショートケーキ
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・ ピーチメルバ・ショット(これ、ショットというように飲み物)
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・ ホワイトチョコレートのロリポップ(竹串に刺さっています)
日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0164327.jpg

・ 味噌風味のスコーン トンカ豆のクローテッドクリームとアンズのコンポート
日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0122269.jpg


熟考してメニューを作ったんだろうなぁ、と思いました。
ひとつひとつに工夫と愛情が感じられます。
こういうフュージョン(融合)、作り手のオリジナリティが高いものは、
これって日本じゃないと敬遠する方もいらっしゃいますが、私はむしろ逆。
日本料理ときちんと習ったことはないかもしれない、
もしかしたら日本に行ったことすらないかも知れない。
でも、そうだとしたら、そうだからこその創造性なのかもなぁと感じるのです。
そして、こういうのが彼の地では受けるんだなぁ、とも。

The Magazine Restaurantで出されたものの味、
この場合、素材の組み合わせやアレンジかもしれませんが、
それもしっくりきました。
スウィーツはある程度想像できる内容でしたので、
セイヴォリーの方が新鮮味がありました。
それにプレゼンが楽しい。
外国の飲食店でおっ!と思うのは、味覚よりも視覚かもしれません。

エキストラで日本酒3種セットを付けることもできます。
純米酒とフルーツのフレイヴァーを利かせたものとスパークリング。
値段は、アフタヌーンティーが25ポンド、日本酒3種セットが10ポンド(2014年9月現在)。
日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0173816.jpg

食器類も、大ぶりな今どきモダンで、
このレストランに合っているなと思いました。
ひとつ、レストランとはまったく関係のないところで、
便利なのは、万人に便利なのか不便なのか、と思ったことを。

日本風アフタヌーンティー@マガジン・レストラン/The Magazine Restaurant(ロンドン)_e0038047_0211975.jpgティーポットが右利き用
だったんです。
私、左利きなんですよ(お箸や
ペンなど大きなことは右ですが、
小さなこまごましたことは左)。
ふたにデザインされた突起物が、
ポットの取っ手までのびており、
押さえながら
お茶が注げるようになっていて、
そこに注ぎやすいように親指をおけるくぼみが作ってあります。
それが、もちろんと言わんばかりに右利き用デザインされているんです。
なんか注ぎづらいと思ったら、そういうことでした。。。
(自動改札も体をくねらせているし。。。)

sat 20/09/14



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by ricoricex | 2014-10-17 00:00 | イギリスのグルメ店レポート