伝統的に豚をよく食べるエリアである。
これは豚を飼うことが古代のアクティビティだった頃から今日まで続く。
ハンプシャーの豚は、サドルバックの一種であり、
黒い肌色の背中の部分に白色が入り、大きな耳が特徴だ。
ハンプシャー・ハズレットは、豚肉で作るミートローフであり、
この地方を代表する豚肉料理でもある。
また、毎年2月には、イギリス随一の規模を誇るソーセージ・フェスティバル、
“グレイト・ハンプシャー・ソーセージ・コンペティション”も開催される。
ハンプシャーでメジャーなのは豚だけでない。
ハンプシャー・ダウンといった羊もまたよく知られている。
180年ほど前に交配させて誕生した種で、
ウイルシャー・ホーン、バークシャー・ノット、サウスダウンなどをオリジナルとする。
これらの羊は食用だけでなく、土地を肥沃にするためにも重要な役割を果たしていた。
羊は、また定期市などのマーケットに欠かせないアイテムで、
ウィルトン、オーヴァトン、ウェイヒルなどの主要な市では、
実に2万頭もの羊が取り引きされていた。
ここで舞台をワイト島に移そう。
ワイト島のお菓子には、ひときわユニークなものがある。
それは、ワイト島ドーナッツ。
というのも、イギリスは伝統的に揚げ菓子という文化がないからだ。
フィリングとして使われるのはジャムが多いが、
かつてはジャムよりもプラムの方が多く見られた。
とはいえ、別段プラムと決まっていたわけではない。
カランツや砂糖漬けのピールなど、入手できるさまざまなものが使われていたのだ。
そして、もうひとつの特徴。ワイト島ドーナッツはラードで揚げて作る。
ワイト島一の町、ニューポートには
ウエストモア・ドーナッツショップという専門店があったほどだ。
(・・続 く・・)
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イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島 01 http://ricorice.exblog.jp/21766431/
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