とりわけ海岸沿いは土壌がよく、土地の人々はこの恩恵に預かれるわけである。
例えば、サンファイア。これはイギリスの海岸沿いで見られる食用植物のひとつだが、
イースト・アングリアのものはひときわ大きくて肉厚である。
そして、海沿いに広がる穀物の畑や泥炭の沼沢地は、
野鳥のシェルターとしても役割も果たしている。
それらの鳥には、ヤマウズラ、ウズラ、ヤマシギ、マガモ、キジなどがいる。
ウサギのイースト・アングリアを代表する食材のひとつ。
伝統的な料理、ジャグド・へアに使われる。
いわゆる牛やラムを使うサフォーク・シチューは、
本当に特別な場合にだけ作られる料理であるのに対し、
ジャグド・へアは日常のごちそうである。
海辺の町は、それぞれのエリアで独自の文化が発達しており、それは食文化も然り。
クロマーは、小さいながらもずっしりと重さのあるカニで知られる。
夏になると、道路沿いの家の扉が開け放たれ、
眼前の海でとってゆがいたカニが並べられる。
クロマー名物のこのカニは、イングランドの西側でとれるものと比べると小ぶりではあるが、
旨みが濃縮した身がみっちりと詰まり、味わいも濃厚である。
ところが、である。
ロンドンのマーケットで取り引きされるには、このクロマーのカニは小さい。
だからこそ、前述のように、地元の漁師たちが自分でとったものを、
自らの家の軒先で売っている次第である。
このカニを使った名物料理に、ベイクド・クロマー・クラブがある。
(・・続 く・・)
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