しかし、第二次世界大戦前までは、
ギルフォードチーズという、やわらかく脂肪分たっぷりのチーズが作られていた。
このチーズのお供として人気のあったビスケットが、ウォーター・ビスケット。
ビスケットというものの甘くなく、パキッとした歯応えが特徴あるクラッカーだ。
このウォーター・ビスケット、膨らみ防止のために、
焼く前にフォークなどで穴をあけるが、
この作業をせず、ぷくっと膨らんだタイプのものはブリスター・ビスケットと呼ばれる。
シンプルながらエレガントなデザートも、サリーにはある。
たとえば、サマー・ストロベリー。
エドワード朝時代、ポレスデン・レイシーで非常に人気のあったデザートである。
(筆者注:ポレスデン・レイシーは19世紀に建てられたマナーハウスで、
20世紀には社交界の舞台となった。現在はナショナル・トラストにより管理)
このポレスデン・レイシーを仕切っていたグレヴィル夫人は、
ことのほかイチゴが好きで、年中欠かさないようにしていたほどだ。
サリーを代表する、もうひとつのデザートといえば、ティークリーム。
紅茶風味のクルーミーなクールスイーツで、
アールグレイ、ジャスミンティー、オレンジペコーなど、
お茶を使って風味づけされる。
かつて、サリーおよび隣の州のケントの北の州境はテムズ川だった。
しかし、ロンドンの区域が広がると、川の南側もロンドンの行政区となる。
デプトフォードは、現在はロンドンに含まれる場所であるが、
かつてはサリーに含まれたエリア。
この町、デプトフォードの名を冠した、デプトフォード・プディングも
サリーのデザート菓子である。
デプトフォード・プディングは、
ブレッド・アンド・バター・プディングの一種といえるが、
レモンをきかせているのがその特徴である。
クリスタル・パレス、というのはご存知のようにロンドンの地名のひとつ。
この名前がついた、クリスタル・パレス・プディングという、
フルーツとゼリーを層にした冷たいデザートもある。
ただし、こちらの名前の由来は、エリアに関係なく、その見た目から。
同じく地名を冠したお菓子に、サットン・パイがある。
これはアップルパイの一種だが、パイというよりはクランブル。
ポーリッジ・オーツをトッピングして作られる。
(・・続 く・・)
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イギリスの地方料理 サリー 01 http://ricorice.exblog.jp/21123590/
これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン”
“イギリスの地方料理 バークシャー”
“イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー”はこちら(↓)
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