場所は、東京ステーションホテルのレストラン「ブラン ルージュ」。
この会は、今回で7回目を数えるイベントで、
ブラムリー研究会と長野県小布施町、そして今年は英国王立園芸協会日本支部の共催で
開催されました。
ブラムリーというのは、リンゴの一品種で、
イギリスではおなじみの、“クッキングアップル”の代表的品種です。
“クッキングアップル”とは、書いて字の如く、調理用リンゴのこと
(ここでいう調理とは、加熱調理のこと。英語のcookは熱を通すの意も含みます。
つまり、生のものを料理やお菓子に利用する、ということではないのです)。
調理用、ということは一般的には生食には向いている、とはいいがたく、
その理由は酸味。リンゴならではのしっかりとした酸味があり、
これが加熱調理されることで、
角がとれ、リンゴの甘味とともに奥深い味わいとなります。
このクッキングアップルのブラムリーを、日本で作っているのが長野県小布施です。
私がこのことを知ったのは、かれこれ5〜6年前で、
東京近郊のお菓子屋さんの取材で知ったのでした。
ずっと日本でクッキングアップルがあるといいのになぁ、と思っていた私には
天啓として響きました。
そうして、ありがたいことに昨年2012年にブラムリーに関わる方々とご縁ができ、
今回の「ブラムリーを楽しむ会」にご案内いただいたわけです。
「ブラムリーを楽しむ会」のメインイベントは、
実際にブラムリーを使った料理をいただく、というもの。
この日供されたコースは、
まずはアミューズに、ブラムリーをトッピングしたタルトフランベ。
パリパリの生地ではなく、ブリオッシュ生地のやわらかい甘味が
ブラムリーの酸味によく合います。
スターターは、信州トラウトサーモンの燻製と信州産岩魚の網焼 ブラムリーソース。
どちらもブラムリーのピュレを使ったソースにブラムリーを上にのせ、
特に香ばしい岩魚の網焼との相性がよかったように思えました。
2種の魚の間には、小さくカットされたコンポートのブラムリーがおかれ、
ブラムリーの酸味も甘味もちゃんと主張させ、
これが箸休めというべきよいアクセント。
個人的に、一番気に入ったのが、次の
ブラムリーの冷製スープ バイヨンヌ産生ハム ブラムリーのジュレ添え。
ブラムリーはクッキングアップルですから、通常はしっかりと火を通して使います。
この冷製スープは、生のブラムリーが持つ酸味を逆にうまく利用したもので、
さわやかな酸味が口いっぱいに広がり、インパクト大。
火を通してピュレにしたブラムリーと、生のブラムリーと両方使ったもので、
クッキングアップルは火を通して使う、という固定概念があった私には
その使い方も含めて非常に新鮮でした。
メインはブレス産のうずらのクラポディーヌ ノルマンディ風。
ノルマンディ風(フランスのノルマンディはリンゴの産地として有名)ということで、
ここでもブラムリーが活躍。
つけ合わせのインカのめざめ(ジャガイモの品種)を使った
グラタン・ドフィノワ(ポテトグラタン。フランス・ドフィネ地方の料理)が
ほくほくとした甘さとねっとり感が、
通常のグラタン・ドフィノワと違って、これまたおもしろかった
(ジャガイモはフランス語だとpomme de terre(大地のリンゴ)なんだよなぁ、
なんてことをぼんやり思い浮かべたりしたのでした)。
デザートは、大納言 ショコラ ブラムリーの求肥包み。
和を盛り込んだ変化球で締めくくり。
そして、これらのブラムリーを食べる愉しみはもちろんですが、
「ブラムリーを楽しむ会」にご案内いただき、どうしても行きたい!と思ったのが、
今回のこの会には、約150年前イギリスでブラムリーを初めて商業化させた
ヘンリー・メリーウェザー氏の曾孫にあたる、
セリア・スティーブンさん(と息子さん&お孫さん)もご出席なさるとのこと。
行きたい!行きたい!行きたい!と
現在、私が住んでいる福岡と東京の約1200kmの距離をなんとか乗り越えて
参加したのです(大袈裟だなぁ)。
食事のあと、希望者は小部屋に移って、質疑応答など。
これが目当てだった!と言っても過言ではなく、
セリアさんが現地の話、日本との違いなど、実に気さくにお話しくださって、
やっぱり、実際に携わってる方のお話を直に聞くのは、
自分の中に入ってきかた、理解の仕方が全然違うんです。
こういう場でしぶといのは仕事のせいということで、
はい、おしまいです、のあとも、
セリアさんを捕まえて質問してしまいました(苦笑)。
疲れた表情も嫌な顔もしないで答えてくださり、
その姿勢にも、嗚呼、プロだなぁ、と感じ入ってしまいました。
このクッキングアップルのブラムリー、
日本の産地である小布施では(今年は終わってしまいましたが)、
秋に「小布施ブラムリーフェア」を開催。
また、フルーツショップの新宿高野では、今月10月は「ブラムリーフェア」が行われ、
ジュースやジャムなどの加工品の購入、パフェなどを食べることもできます。
詳細は以下から、ご確認ください。
小布施ブラムリーフェア(2013年9月13〜29日):http://www.town.obuse.nagano.jp/
新宿高野ブラムリーフェア(2013年10月1〜14日):http://takano.jp/
ブラムリーについては、
「ブラムリーファンクラブ」に詳細や最新情報が掲載されています。
http://blog.livedoor.jp/apple5555/
sun 29/09/13
・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。