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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

第7回「ブラムリーを楽しむ会」に出席しました


9月29日(日)、第7回「ブラムリーを楽しむ会」に出席しました。
場所は、東京ステーションホテルのレストラン「ブラン ルージュ」。
この会は、今回で7回目を数えるイベントで、
ブラムリー研究会と長野県小布施町、そして今年は英国王立園芸協会日本支部の共催で
開催されました。
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ブラムリーというのは、リンゴの一品種で、
イギリスではおなじみの、“クッキングアップル”の代表的品種です。
“クッキングアップル”とは、書いて字の如く、調理用リンゴのこと
(ここでいう調理とは、加熱調理のこと。英語のcookは熱を通すの意も含みます。
 つまり、生のものを料理やお菓子に利用する、ということではないのです)。
調理用、ということは一般的には生食には向いている、とはいいがたく、
その理由は酸味。リンゴならではのしっかりとした酸味があり、
これが加熱調理されることで、
角がとれ、リンゴの甘味とともに奥深い味わいとなります。

このクッキングアップルのブラムリーを、日本で作っているのが長野県小布施です。
私がこのことを知ったのは、かれこれ5〜6年前で、
東京近郊のお菓子屋さんの取材で知ったのでした。
ずっと日本でクッキングアップルがあるといいのになぁ、と思っていた私には
天啓として響きました。

そうして、ありがたいことに昨年2012年にブラムリーに関わる方々とご縁ができ、
今回の「ブラムリーを楽しむ会」にご案内いただいたわけです。
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「ブラムリーを楽しむ会」のメインイベントは、
実際にブラムリーを使った料理をいただく、というもの。
この日供されたコースは、
まずはアミューズに、ブラムリーをトッピングしたタルトフランベ。
パリパリの生地ではなく、ブリオッシュ生地のやわらかい甘味が
ブラムリーの酸味によく合います。
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スターターは、信州トラウトサーモンの燻製と信州産岩魚の網焼 ブラムリーソース。
どちらもブラムリーのピュレを使ったソースにブラムリーを上にのせ、
特に香ばしい岩魚の網焼との相性がよかったように思えました。
2種の魚の間には、小さくカットされたコンポートのブラムリーがおかれ、
ブラムリーの酸味も甘味もちゃんと主張させ、
これが箸休めというべきよいアクセント。
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個人的に、一番気に入ったのが、次の
ブラムリーの冷製スープ バイヨンヌ産生ハム ブラムリーのジュレ添え。
ブラムリーはクッキングアップルですから、通常はしっかりと火を通して使います。
この冷製スープは、生のブラムリーが持つ酸味を逆にうまく利用したもので、
さわやかな酸味が口いっぱいに広がり、インパクト大。
火を通してピュレにしたブラムリーと、生のブラムリーと両方使ったもので、
クッキングアップルは火を通して使う、という固定概念があった私には
その使い方も含めて非常に新鮮でした。
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メインはブレス産のうずらのクラポディーヌ ノルマンディ風。
ノルマンディ風(フランスのノルマンディはリンゴの産地として有名)ということで、
ここでもブラムリーが活躍。
つけ合わせのインカのめざめ(ジャガイモの品種)を使った
グラタン・ドフィノワ(ポテトグラタン。フランス・ドフィネ地方の料理)が
ほくほくとした甘さとねっとり感が、
通常のグラタン・ドフィノワと違って、これまたおもしろかった
(ジャガイモはフランス語だとpomme de terre(大地のリンゴ)なんだよなぁ、
 なんてことをぼんやり思い浮かべたりしたのでした)。
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デザートは、大納言 ショコラ ブラムリーの求肥包み。
和を盛り込んだ変化球で締めくくり。
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そして、これらのブラムリーを食べる愉しみはもちろんですが、
「ブラムリーを楽しむ会」にご案内いただき、どうしても行きたい!と思ったのが、
今回のこの会には、約150年前イギリスでブラムリーを初めて商業化させた
ヘンリー・メリーウェザー氏の曾孫にあたる、
セリア・スティーブンさん(と息子さん&お孫さん)もご出席なさるとのこと。
行きたい!行きたい!行きたい!と
現在、私が住んでいる福岡と東京の約1200kmの距離をなんとか乗り越えて
参加したのです(大袈裟だなぁ)。

食事のあと、希望者は小部屋に移って、質疑応答など。
これが目当てだった!と言っても過言ではなく、
セリアさんが現地の話、日本との違いなど、実に気さくにお話しくださって、
やっぱり、実際に携わってる方のお話を直に聞くのは、
自分の中に入ってきかた、理解の仕方が全然違うんです。
こういう場でしぶといのは仕事のせいということで、
はい、おしまいです、のあとも、
セリアさんを捕まえて質問してしまいました(苦笑)。
疲れた表情も嫌な顔もしないで答えてくださり、
その姿勢にも、嗚呼、プロだなぁ、と感じ入ってしまいました。
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このクッキングアップルのブラムリー
日本の産地である小布施では(今年は終わってしまいましたが)、
秋に「小布施ブラムリーフェア」を開催。
また、フルーツショップの新宿高野では、今月10月は「ブラムリーフェア」が行われ、
ジュースやジャムなどの加工品の購入、パフェなどを食べることもできます。
詳細は以下から、ご確認ください。
小布施ブラムリーフェア(2013年9月13〜29日):http://www.town.obuse.nagano.jp/
新宿高野ブラムリーフェア(2013年10月1〜14日):http://takano.jp/

ブラムリーについては、
「ブラムリーファンクラブ」に詳細や最新情報が掲載されています。
http://blog.livedoor.jp/apple5555/

sun 29/09/13



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by ricoricex | 2013-10-06 00:00 | イギリスの食ニュース