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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

思い出のイースターの味


今にして思えば、知らないにもほどがある。
そのイースターの思い出の味が、チョップドトマトと缶ソーセージのスパゲッティ。

思い出のイースターの味_e0038047_15195264.jpg2001年春、当時イギリスに住んでいて、
4〜5月の時期は、帰国する少し前でもあり、1カ月ちょいフランスをぶらぶらしていました。
マルセイユに友達がいたので、
南仏(マルセイユ、エクス、ニース、アンティーブ、ポルクロル島、リュベロンやニースの山側の村etc)をめぐり、
リヨンと周辺、パリを旅しました。
ほとんどのところは予定を立てず行き当たりばったりで
(できる限り、そのときの気分で行きたいところに行ってやりたいことをしたいので、ガシガシの予定を立てないのです)、
ということは、つまりは宿の予約もとらないで現地で探すお決まりのパターン
(さすがに、マルセイユのユニテ・ダビタシオンと
 ラ・トゥーレット修道院は予約を入れました。。。)。
(写真はリュベロンの村のひとつ、ボニュー)

これが、イースターの思い出の味につながるのですが、
リュベロンを旅行し始めたまさにその日がイースターで、
2001年の4月15日がその日
(ちなみに、2001年の4月1日はポルクロル島。嗚呼、素晴らし過ぎて、死にたくなった)。
エクスからまず向かったのは、ルールマランという小さな村。

日曜日なので、ツーリストインフォメーションが開いているわけはなく、
それ以前に小さな村にあるかどうかも不明。
でも、フランスは法律で、宿泊施設も飲食店も
タリフを見えるところに貼り出す(今も、かな?)ことが義務づけられているし、
宿なら満室/空室も出ているだろうし、で、到着して、いざ、宿探し。

ところが、どこも満室、満室、満室!
宿のみならず、カフェやショップでダメもとで訊ねても、なしのつぶて。
口々に言われたのが、「イースターだからねぇ」の言葉。
そう、イースターはホリデーシーズンであり(学校が休みになるのは知っていた)、
同時に旅行シーズンでもあるのです(これに考えが及ばなかった!!!)。
フランス人はフランス国内を移動するし、
リュベロンは人気があるので、早めにとらないと宿がないのです。

車であれば車内で一晩明かせば、なのですが、
路線バス移動だったので、そうもいかず。
ついに野宿かぁ、夜はまだ寒そうだなぁ、なんて呑気なことを思いつつ、
歩いていたら、村の中心から少し離れたところに宿泊施設を発見。
今日泊まるところを探しているんです、どこも空いていなくって、
と言うと、またしても呆れられ、しばらく考えて、ちょっと待ってて、と。
そして、その宿に泊まることができたのです。

待ってて、と言ってくれたその宿は、
大部屋に二段ベッドがいくつかあって、とにかく眠れれば、というバジェットタイプの宿
(ユースホステルよりも、もっともっとエコノミーな宿)。
この村で結婚式がある親戚一同が、この部屋を借りて宿泊していたのです。
先の女主人が、彼らに一緒の部屋に泊めてやってくれないかと聞いてくれて、OKとなった次第。
床にごろんと寝ようと思っていたのに、
彼らは、ベッドを使っていいよ、と言ってくれ、
さらに結婚式でみんな集まっているし、お酒もたくさん飲むだろうし、
うるさいけど我慢してくれるか、と。
いやいや、お邪魔してるのはこっちなのに。
ありがたくベッドは使わせていただきました(笑)。

バジェットタイプなので、セルフケータリングでもあったこの宿。
宿泊できることが決まったら、すかさず、食料はあるの?と聞かれ、返事は、当然、ない。
しかもすでに夕方を回っていて、ショップは閉まっている時間だし、
レストランにでも行くか、と思っていたら、
またしても、ちょっと待ってて、と。
あるものだけど、と差し出してくれたのが、
パスタとチョップドトマトとソーセージの缶と、時間が経ってくたびれたバゲット1本。
調理器具や調味料、食器はキッチンにあるから、というわけで、
イースターの夜の食事が、ソーセージ入りのトマトスパゲッティだったのです。
思い出のイースターの味_e0038047_15151742.jpg


思い出のイースターの味_e0038047_1515472.jpg以来、毎年イースターがやってくると、このスパゲッティを思い出すのです。
つい先日、輸入食品店でソーセージの缶(ブラジル産だけでど)を発見し、すかさず購入。
思わず、思い出のスパゲッティを作ってしまいました。

翌朝、チェックアウトの際に、
その女主人は、宿泊費だけで、提供してくれた食料のお金を受け取らなかった。
前の日は呆れ果てた様子だったけれど、
翌朝は、旅を楽しんでね、でもイースターの時期は気をつけてね(笑)、
と送り出してくれたのでした。

この日は、まずは、次の目的地、ボニューの宿の確保から、と、公衆電話から電話
(当時、携帯電話は持っていたけれど、フランスの旅行には持参しておらず。
 イギリスの携帯電話はフランスでも安く使えたのかなぁ)。
ボニューも小さな村で、宿泊施設も少ないけれど、
電話をかけ始めた2軒目の宿で、
ちょうど今キャンセルが出たところ、その部屋でいいか、と言われ、二つ返事でOK。
その宿は、古城の一部を利用した、前の日とはまったく趣の違う宿。
1泊5000円ちょいで、ドゥミペンション/ハーフボード(夕朝食付き)。
宿の趣や内容から、てっきり食事代は別かと思っていたら、一緒でこの値段でした。

予想だにしないことがさまざまな角度から起こる。
これだから、旅はやめられない、んだと思います。。。

sun 15/04/01


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by ricoricex | 2013-04-01 00:00 | 旅の記憶